人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山中の不思議なる家

・・・・を、『マヨヒガ』と言ふ。

このフレーズが何度頭の中を過ぎったことか。

最も気になっていたにも関わらず、なかなか足を踏み入れられなかった琴畑川沿いの道。
「遠野物語」をご覧になった多くの方が惹きつけられるのがこの辺りではないかと思っている。

「マヨヒガ」を解くキーワードの一つが「琴畑川」・「白望の山(現 白見山)」で、その響きの虜になって久しい。
にも関わらず此れまで何故訪れなかったのか・・・・理由は単純。

「こわいから」

「こわい」という言葉が示す心理の奥には様々な感情が含まれている。
憧れ、恐れ、畏れ、危険、本当は欲しいものなのに実際に手に入れることへの躊躇い・・・・・など、他にも幾つか。
この言葉ほどプラスとマイナスの駆け引きを感じさせる言葉があるのだろうか。


その「こわい」の一番の理由。
「山奥」で、きっと路は悪いであろうと勝手に決め付けていた。
正に、憧れと妄想が生み出した馬鹿げた恐れ。
自分の中で「行きたい」・「その気になればいつでも行ける」といった思いが押し合いしていた事は充分分かっていたのだけど。
勿論、ただの先入観に過ぎなかったけど、実際に行ってみると「当たらずとも遠からず」といった部分は確かにあった。


道路が二つに分かれる手前、いよいよ白見山の懐に近づいてきたかと思っていたその時・・・・視線に飛び込んできたのは大きな廃屋。

山中の不思議なる家_d0001843_22503888.jpg

いつの時代のものか分かりませんが、玄関や窓の造りが凝っていて当時としては洒落ていたと思う。なかなか大きいし、裕福な家だったのだろう。
山中の不思議なる家_d0001843_22505794.jpg
山中の不思議なる家_d0001843_2251322.jpg

馬小屋(牛でもいいけどね)付の納屋まである。
山中の不思議なる家_d0001843_23163244.jpg


便所などの辺りに人が立っているような気配を感じ・・・・はしませんでしたが、直ぐ隣に人家があってあまり繁々と眺めるのも気がひけて早々に立ち去った。

山中の不思議なる家_d0001843_22521294.jpg


何故このような話が生まれたのだろう・・・・『マヨヒガ』は“特定の人達”が作り上げた理想郷だという説もある。
その“特定の人達”が何者であるかは、民話や伝承に詳しい方なら「ピン!」とくるかも知れない。
この山深い処で果たして何の根拠もなしに、「山中の立派な家」について語られるのだろうかと思いたいものですが、もし研究なさっている方がいれば一笑に伏すか可能性を語るのか・・・私にはわかりません。

でも、「主無き豪農の如き家」は、人の心を掻き立てて有り余る魔力があるのは確か。
誰かが心の中に作り上げたイメージだったとしても。


さて、あなたは心の中にどんな理想郷をお持ちですか?
by tamachi69 | 2006-05-19 00:03 | 発見
<< 琴畑集落 琴畑川 >>