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遠野妖怪紀行(PartⅡ)まだ続く


遠野の、特にこの辺りが気に入って自分が住む町と大出を何度も往復する内に、ついにはこの地に山小屋を建ててしまった人がいます。

その人には、何度目かの遠野訪問の際、出来るだけ早池峰に近い宿に泊まろう、と思ってここに一泊した翌日に初めて出会いました。
以後、山登りでお世話になっています。


人は彼を「Gさん」と呼びます。私もそう呼ばせて頂くことにしましょう。
そのGさん、山登りのベテランで、四季を通じて山を楽しんでおり、春夏秋は当然、厳冬でさえ楽しんじゃっている強者です。
当然、この宿も幾度となく利用しており、座敷童子に出逢う確率は高いはず・・・・

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しかし、Gさんはそういった類のものを一切信じていませんでした。
現実的で、実際に目にしないモノについては答えようがない・・・・そんなGさんの人柄はみんなが知っていて、彼の言葉には偽りがないものと思われます。

これは、数年前のこと。
Gさんはいつものように早池峰登山の後でこの宿に泊まったのですが、その晩は普段より疲労がひどかったそうです。
あまりにも疲れて寝付かれず、うとうとしていた時のこと。
突然、部屋が揺れて地震かと思って慌てましたが、何故か身体が思うように動かせませんでした。それなのに強い揺れが続くので、肝が据わっている筈のGさんも「おっかなく」なりました。

そのうち、揺れはぴたっと納まり、安堵して再び寝入ろうとしていたら、足下に気配を感じました。
何と、十歳くらいの女の子二人が立っていた・・・・
Gさんは、ここにこんな年格好の女の子なんていないなぁ、と思いながらもふざけ半分で言いました。

「山登って足が疲れたからもんでくれや」

そしたら、その二人の女の子はGさんの足をもみ始めました。
Gさんはすっかり足が楽になったそうです。
お礼を言うか言わないかのうちに、入り口の戸が「カラカラ」と音がしたかと思うと女の子の姿は消えていました。

Gさんはその侭寝入ってしまいました。
翌日、昨晩の地震のことを宿の人に訊ねたら、「そんなものはなかった」とのこと。勿論、女の子が部屋に入ったことも分かりません。

これこそ、噂の座敷童子なんだろうか、とGさんはその時思ったそうです。


・・・・・この話は、2、3年ほど前に某テレビ番組で取り上げられました。
私は、Gさんから前もって「オレ、座敷童子のことでテレビにでちゃうよー」と聞かされたので、見させて頂くことに・・・・

「あれま、本当にGさん出てるー」と、びっくりしたのは言うまでもありませんでした。
by tamachi69 | 2005-07-03 22:18 | 遠野妖怪紀行
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