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琴畑川

初めて早池峰山を目にしたときと似たような感動があった。
『マヨヒガ』の核心に迫るキーワードの一つがこの川ですから。

そもそも『マヨヒガ(迷い家)』とは一体何?
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。

「遠野物語」で最も良く知られている話を3つ挙げるとすれば、「カッパ」「ザシキワラシ」「マヨヒガ」でしょう。
(・・・う~ん、「オシラサマ」も知られていますね・・・まっ、いいか;)
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『山中の不思議なる家をマヨヒガと言ふ』(遠野物語六三)

ある貧しい家の主婦~少し小足りなかったらしい~が、川に沿って蕗を採りに行き、どんどん山奥に入っていった所で、大きな門構えの家に辿り着いた。
牛や馬が多くいて、庭には紅白の花が咲き乱れており、家の中では数多の膳椀が並び鉄瓶に湯が滾ってさえいた。なのに、一向に人の姿を見ない。
主婦は段々怖くなって、その家から駆け出して帰ってしまった。

その後、この主婦が家の前の川で洗い物をしていたら赤い椀が流れてきた。
それを米を計るのに用いたが、米はいつまで経ってもなくならず、それからその家は富裕になった。


山中の不思議な家、マヨヒガにある什器家畜の類を持ち帰れば裕福になるという言い伝えがある。
しかし、偶々山道で迷ってマヨヒガを発見しても、次に訪れようとすれば幾ら目印を付けても行き当たらなくなるものらしい。「迷い家」たる所以であろう。

また、琴畑川から「桐の花」が流れてきたので、それを遡ったら『マヨヒガ』に行き当たったという話もある。

そのような話が出来上がった背景には幾つかの説があるが、此方の範疇から外れるので、いずれ機会があればということで。

そう、つまり『マヨヒガ』伝説はこの付近の白見山(遠野物語では「白望山」)一帯に多く残っているのである。
物語の中のこの部分に惹かれる人は、少なからず白見山・琴畑川という名を記憶しているだろう。
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桐の花が流れてくるにはまだ早いですが・・・・この流れを見ていると期待しちゃいます(笑)。
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それにしても、結構釣り人を見かけました。
丁度休みだったし、どうも雰囲気が地元の方々ではなかったような気がします。
そのお陰か、自分が思っていた程の秘境に来たという感じはしなかった。

映画の影響もあるんでしょうか・・・どうやら、ここは釣り人にはよく知られているみたいです。
と、同時に、「ごみ」らしきものを遠くに発見したので、何だか気になりました。
山や自然に親しむ事は大いに結構ですが、人として最低限のルールは守らねばなりません。
ゴミを散らかさない・持ち帰るのなんてほんの些細な行為。残して気が咎めるよりは遥かにいい筈なのに。


釣り人を見なくなったら、また山が近づいてきた気がした。
決して孤独好きな訳ではないのですが、こういう「特別な」場所って独りか或いは大切な人達と分かち合いたいものだなあ、と思う。
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by tamachi69 | 2006-05-18 06:37 | 流れ
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